小規模宅地の特例とは? 〜相続評価の観点から路線価による不公平を考える〜

2015年の相続税基礎控除額の減額をきっかけとして、増税が懸念されるなか、不動産に関しては小規模宅地の特例が注目されています。

小規模宅地の特例(減額)とは、土地の相続評価で一定の要件を満たすものについて、減額措置を講じる制度です。

  • 居住用:330㎡まで80%減額
  • 貸付用:200㎡まで50%減額

と非常に減額幅が大きいため、この特例が使えるか否かによって税額に与えるインパクトが大きく変わります。

分かりやすく言い換えると、例えば居住用の土地であれば、亡くなった人が自宅として使用していた土地については、330㎡までの広さであれば評価額が80%OFF(つまり20%の評価)になる制度です。貸付用の場合は200㎡までであれば50%OFF(つまり50%の評価)になります。

なお基準の面積(居住用:330㎡、貸付用:200㎡)を超えた部分については通常の評価額になります。

それでは、これを踏まえて相続評価の観点から投資用不動産について考えてみましょう。

ここにAさん・Bさんの2人がいたとします。

  • Aさんは200㎡の土地(路線価:10万円/㎡)に建つアパートを5棟所有
  • Bさんは1室あたり20㎡の土地持分(路線価:100万円/㎡)の区分マンションを5部屋所有

Aさん・Bさんともに【面積×路線価×5】は同じ金額になります。この場合、Aさん・Bさんの土地の相続評価額はどうなるでしょうか? ※借地権割合:70%、借家権割合:30%と仮定します。

【Aさん】

  • 1棟目:200㎡×10万円×(1-(70%×30%))=1580万円 →小規模宅地の特例適用により50%評価となり790万円
  • 2棟目:200㎡×10万円×(1-(70%×30%))=1580万円
  • 3棟目:200㎡×10万円×(1-(70%×30%))=1580万円
  • 4棟目:200㎡×10万円×(1-(70%×30%))=1580万円
  • 5棟目:200㎡×10万円×(1-(70%×30%))=1580万円

1棟目で上限の200㎡まで使ってしまっているので2棟目以降は小規模宅地の特例が使えません。よって土地の評価は【790万円+1580万円×4=7110万円】となります。

【Bさん】

  • 1室目:20㎡×100万円×(1-(70%×30%))=1580万円 →小規模宅地の特例適用により50%評価となり790万円
  • 2室目:20㎡×100万円×(1-(70%×30%))=1580万円 →小規模宅地の特例適用により50%評価となり790万円
  • 3室目:20㎡×100万円×(1-(70%×30%))=1580万円 →小規模宅地の特例適用により50%評価となり790万円
  • 4室目:20㎡×100万円×(1-(70%×30%))=1580万円 →小規模宅地の特例適用により50%評価となり790万円
  • 5室目:20㎡×100万円×(1-(70%×30%))=1580万円 →小規模宅地の特例適用により50%評価となり790万円

よって土地の相続評価は【790万円×5=3950万円】となります。 ※説明を簡素化するために土地のみの価格とし、内容を一部省略しています。

つまり小規模宅地の特例を考慮すると、時価では同額の不動産だったとしても、相続を考慮した場合は【面積が小さく、路線価が高い】不動産が有利だということです。面積が小さく路線価が高いということは、つまり都心の不動産ということですね。

制度がこのようになっているのですから、郊外の不動産を売却して都心の不動産へ資産を組み替える方が多いのも当然かもしれません。

地方創生の観点からも、こういった税制面から見直していかないと、都心への一極集中は解消されないのではないでしょうか。